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カトリック入門

「カトリック入門」 第35回 ロザリオ【動画で学ぶ】

序)ロザリオ

 カトリック教会で広く親しまれている祈り。
 伝統的な形としては、イエス・キリストとその母マリアの主な喜び・苦しみ・栄えの秘義(神秘)を黙想しながら、「アヴェ・マリア」の祈りを繰り返し唱える。

1)基本的な形

 15世紀から20世紀までの基本的な形としては、喜び(第一環:受肉)、苦しみ(第二環:受難)、栄え(第三環:復活・昇天・聖霊後輪)の三つの秘義(神秘)に関して、五つの黙想を行う。

 第一環:喜びの秘義(神秘)
  ①受胎告知、②マリアのエリゼベト訪問、③降誕、④神殿訪問、⑤神殿にいる少年イエス

 第二環:苦しみの秘義(神秘)
  ①ゲッセマネでの祈り、②むち打ち、③茨の冠、④十字架を担うイエス、⑤十字架上での死

 第三環:栄えの秘義(神秘)
  ①復活、②昇天、③聖霊降臨、④マリアの被昇天、⑤聖母の戴冠

 伝統的には、「ロザリオの15秘義(神秘)」であるが、教皇ヨハネ・パウロ二世が、イエスの公生活の五つの秘義(神秘)を「光の秘義(神秘)」と呼び、新しい環として加えた。
  ①イエスの洗礼、②カナの婚礼、③神の国の宣言と回心、④主の変容、⑤聖体

 伝統的な方法では、15秘義の黙想ごとに「アヴェ・マリア」の祈りを10回、栄唱を1回、主の祈りを1回、合計「アヴェ・マリア」を150回(15連)、栄唱15回、主の祈り15回を唱える。
 10個の小珠(アヴェ・マリア)と1個の大珠(主の祈り)が組(一連)をなし、5連で一環をなる。
 ロザリオの祈りを始める前に、信仰宣言を1回、主の祈りを1回、信仰・希望・愛の恵みを願って「アヴェ・マリア」を3回、栄唱を1回唱える。

2)ロザリオの歴史

 キリスト教の初期のころ、主の祈りを小石や木の実、穀物の種子などを繰りながら唱える例があった。
 東方教会の修道生活において、短い言葉を繰り返し唱えながら観想する慣習があった。
 アイルランドの修道生活では、毎日全詩編(150)を祈ることが理想とされ、それが実行できない場合でも、150編を三分して、そのうちの一つか二つを祈るという適用がなされたり、一定の短い詩編句を150回繰り返し唱えたりすることがあった。特に信徒にとって暗記できる詩編句や主の祈りを繰り返し唱えることが日常的に勧められ、主の祈りの時に数珠が使われることがあった。
 11世紀から、短く反復できる祈りとして「アヴェ・マリア」が普及し、シトー会によって聖母マリアの小聖務日課が形成された。
 当初は一日に「アヴェ・マリア」を150回唱えることが原則とされていたが、多すぎることや形式化したこともあり、13世紀半ばぐらいから一日50回となり、50回一組の「アヴェ・マリア」の祈りが「ロザリウム」と呼ばれるようになった。このころ、マリアに対する信心が深まり、マリア像をバラの冠で飾る習慣も出てきた。
 昔から、司祭や修道者は全教会を代表して毎日神に祈る義務を持っています。「教会の祈り」と呼ばれるもので、150の詩編をラテン語で唱えていました。それに対して、ロザリオの祈りは信徒用の「教会の祈り」のようなもので、150の詩編の代わりに「アヴェ・マリア」の祈りを150回唱えます。
 主の祈りを1回、「アヴェ・マリア」の祈りを10回、栄唱で締めくくって一連として、15連唱えます。
 13世紀、聖ドミニコは南フランスでアルビ派の異端者を正しい信仰に導こうと働いていた時、聖母マリアから「ロザリオの祈りを広めなさい。そうすれば多くの人が回心する」とお告げを受け、多くの人を救いました。
 信者たちの間に、ロザリオの祈りが広まったことについては、聖ドミニコとドミニコ会の会員たちの影響が大きい。イエスの生涯の場面を大きく受肉・受難・栄光の三つの部分にまとめた。現在のロザリオの形が出来上がった。
 15世紀になってしだいに整えられ、イエスの生涯の秘義は、受肉・受難・栄光に三分され、全部で15の出来事に限定された。こうして3環15連が構成されるようになった。ロザリオ信心会もでき、さらに普及していった。
ドミニコ会員であった教皇ピオ5世の時代、1571年10月7日、レパントの海戦でオスマン帝国に勝利したことを記念して、この日は「ロザリオの聖母の祝日」としました。
19世紀のピオ9世の時代になり、1854年に「無原罪の聖母マリア」の教義が決定され、1858年、ルルドでの聖母マリアの出現、1917年にはファティアでの聖母出現があり、ロザリオの祈りの信心が盛んになった。
レオ13世教皇は、ロザリオに関して16の回勅や教書を出し、「ロザリオの教皇」と呼ばれ、彼は10月をロザリオの月とした。
教皇ヨハネ・パウロ二世は、2002年10月16日に使徒的書簡「おとめマリアのロザリオ」を発表した。2002年10月から2003年10月まで、「ロザリオの年」と宣言した。

*ロザリオの唱え方
 キリストバル・M・バリョヌェボ著『ロザリオの祈り』サンパウロ刊、2ページ参照。

*日本のキリシタン時代、ロザリオの組が結成された。1602年、ドミニコ会が来日し、九州各地にロザリオの組を創設し、1604年には長崎だけで2万人の会員がいたといわれる。

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