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ブラジル:FAPCOM 創立20周年記念祭

 パウロ通信・技術大学(FAPCOM)は創立20周年を迎え、10月31日に大学内の聖堂で感謝のミサを捧げて祝いました。感謝の祭儀は、かつて同大学の院長を務め、現在はカンポ・リンポ教区司教およびブラジル司教協議会(CNBB)コミュニケーション委員会委員長であるヴァウジル・ジョゼ・デ・カストロ司教(ssp)が司式しました。

 ミサは、パウロ会管区長クラウジアーノ・アヴェリーノ神父、現学長エリヴァウド・ダンタス神父、その他のパウロ会司祭や友人たちによって共同司式されました。学生、教職員、神学生、修道者、そしてパウロ家族のメンバーが集い、20年間の歩みとFAPCOMがもたらした実りをともに感謝しました。

 説教の中でカストロ司教は、FAPCOMの制度的使命に触れ、コミュニケーションは単なる技術的側面を超えるべきだと強調しました。創立の原点を振り返りながら、FAPCOMは「パウロ会のカリスマの教導面を表現する、コミュニケーション研究の中心として生まれた」と語りました。

 また司教は、同大学の教育プロジェクトを支える基本原理を再確認し、「コミュニケーションとは交わりを創り出すこと」であると述べました。彼によれば、この原理こそが専門家の養成を導くべきであり、「キリスト教的価値観」「倫理、感性、社会的責任」をもってコミュニケーションに携わる力を育てることが求められています。さらに、カリキュラムにおける哲学の重要性にも触れ、「コミュニケーション文化を批判的に見つめる視点」を養うために不可欠だと述べました。

 司教は、特にSNSに見られる現代のコミュニケーション領域の課題にも言及し、「共同体にとって最大のつまずきは分裂である」と警告しました。その上で、出席者に「交わりの担い手」となるよう促し、キリスト者のインフルエンサーの真の目的は「自分ではなくイエスへと人々を導くこと」だと強調しました。

 20周年を考えるにあたり、司教は学術コミュニティに三つの視座を提示しました。すなわち、「過去を感謝のうちに見つめること」、実りとともに成長をもたらした困難を認めること。「現在を情熱をもって生きること」、コミュニケーションを通して福音を伝える使命を生き続けること。そして「未来を希望をもって見つめること」、コミュニケーションの世界において「希望の巡礼者」となることです。

 説教の締めくくりにカストロ司教は、FAPCOM がこれからも「交わりを紡ぐ職人」としていっそう確立されていくことを願いました。そして教皇レオ14世の言葉を引用し、学術・司牧の全構成員に「関係のネットワーク、愛のネットワーク、真理のネットワーク」を築くよう励まし、パウロ会の精神に忠実な教育使命を歩むよう呼びかけました。

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大西德明神父

聖パウロ修道会司祭。愛媛県松山市出身の末っ子。子供の頃から“甘え上手”を武器に、電車や飛行機の座席は常に窓際をキープ。焼肉では自分で肉を焼いたことがなく、釣りに行けばお兄ちゃんが餌をつけてくれるのが当たり前。そんな末っ子魂を持ちながら、神の道を歩む毎日。趣味はメダカの世話。祈りと奉仕を大切にしつつ、神の愛を受け取り、メダカたちにも愛を注ぐ日々を楽しんでいる。

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