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みことばの響き

ボランティアの精神 年間第11主日(マタイ9・36~10・8)

 今日のみことばで「ただで受けたのだから、ただで与えなさい」(マタ10・8)と結んでいきます。日本のことわざには「ただより高いものはない」と言いますが、「ただ」というのもけっこう難しいものです。むしろ、働きに順じた金額を言ってもらったほうが、すっきりすると思う人もいることでしょう。

 最近、ボランティアというのが聞かれるようになりました。もともとボランティアというのはラテン語の「ボルンタス」に由来します。それは「自由意志」を意味するように、自分から率先して何かを手伝うことです。この行動は、ヨーロッパではとても定着しています。

 例えばルルド。毎年夏になるとたくさんのボランティアたちがルルドで奉仕しています。介護する人、案内を受け持つ人、教会でお世話をする人など多数。彼らや彼女たちは報酬が目的ではなく、純粋な気持ちからルルドで奉仕しています。誰でもよいという訳ではなく、ボランティア精神とともに、フランス語の他に少なくとももう一つの語学ができることが条件になっているようです。学生のボランティアも多く、夏の間にこうした体験からお金には変えられないものを学ぶのでしょう。

 それに対して、日本の場合はどうでしょうか。学校のカリキュラムの中にボランティアがあり、その有無で受験や就職にも影響することを聞いたことがあります。純粋にボランティアの精神で働いている学生もいるでしょうが、「内申書に響くから」ということでボランティア活動に携わっているのは、ボランティア本来の精神から逸脱しているように思えてなりません。

 今日のみことばから、何の報酬も求めないイエスの行動と取り組み。そこにはボランティア本来の精神や根源がよく見えてきます。

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