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イタリア:福者ジャッカルド神父についてのネット討論会が行われました

福者ティモテオ・ジャッカルド──現代に生きる希望の光

 2025年6月13日、パウロ家族にとって特別な記念日となりました。
 この日は、福者ティモテオ・ジャッカルドの誕生と洗礼、そして「尊者」宣言40周年を祝うオンライン記念会が開催され、多くの関係者や信徒が心をひとつにして彼の生涯と霊性を分かち合いました。

メディアを通して聖性を生きた人

 ティモテオ・ジャッカルドは、パウロ会において最初に司祭叙階を受けた人物であり、創立者アルベリオーネ神父の最も信頼された弟子でした。アルベリオーネからは「忠実な弟子の中の忠実な弟子」と讃えられています。
 ジャッカルドの聖性は、教会の祭壇の上だけではなく、活版印刷機の音が鳴り響く現場にありました。新聞編集、出版活動、信徒指導——それらすべてを、彼は「神の言葉を告げる奉仕」として生き抜きました。
 彼が見つめていたのは「より早く、より効果的に」福音を伝えるという使命です。その視点は、現代のデジタル社会に生きる私たちにとって、ますます重要な意味を持っています。

試練の中に宿る、あたたかな希望

 今回の講演では、ジャッカルドの霊性の中でも「希望」に焦点が当てられました。彼は希望について大著を記すことはありませんでしたが、日記や説教ノート、霊的指導の書簡には、試練の中にあってもなお神を信じ抜く姿勢が力強く現れています。
 彼が語る希望は、決して甘い慰めではありません。戦争や誤解、修道会内の困難を経験しながらも、ジャッカルドはこう記しています。
 「希望は、幻想ではありません。苦しみの中であえて見上げる光です。」
 特に修道会の姉妹たちが苦難にあったとき、彼はこう励ましました。
 「あなたがたが死んだように見えても、希望までは止められません。その火は、神から来ているのです。」
 この言葉には、苦しみに屈しない力強さと、神への深い信頼が込められています。

ナルツォレの町に息づく信仰

 ジャッカルドが生まれたイタリア北部・ナルツォレの町では、今でも彼に対する信仰が深く息づいています。長年にわたり教区司祭を務めたアンジェロ・カロッソ神父は、町の人々が毎日のように教会に足を運び、祭壇に置かれたジャッカルドの遺物に祈りを捧げている様子を語ってくださいました。
 特に印象的だったのは、小児がんの少年アレッサンドロのために町全体が祈りを捧げた出来事でした。奇跡的な回復には至りませんでしたが、母親の言葉が心に残ります。
 「アレッサンドロがここまで生きたのは、皆さんの愛が祈りに変わったからです。」
 病に立ち向かう子ども、支える家族、共に涙し祈る地域。そこには、「癒し」以上の「つながりとしての奇跡」が確かに存在していました。

今日の私たちへのメッセージ

 情報があふれ、不安が渦巻く現代において、私たちはどこに希望を見出すべきでしょうか。ジャッカルドの生涯は、明確な道を示しています。
 ・沈黙の中に祈ること
 ・技術の中に神の言葉を響かせること
 ・困難の中でも信じ、耐え抜くこと
 彼の信仰姿勢は、ただ信じるだけでなく、「今」という時代を生き抜くための知恵と力を与えてくれます。

「希望の人」として

 講演の最後に、登壇者に「ジャッカルドをひとことで表すなら?」という問いが投げかけられました。
 「謙遜」
 「愛に満ちた一致」
 「人に寄り添い、身をかがめる優しさ」
 どの言葉にも、ジャッカルドのまなざしと生き方がにじんでいます。

結びに

 ティモテオ・ジャッカルドは、希望について書き残した書物はありません。しかし、彼の人生そのものが、希望の物語でした。
 今を生きる私たちが、混乱の時代にあっても信仰と喜びを失わず歩めるよう、彼はそっとそばで支えてくれているように感じます。
 「私はいなくとも、あなたの傍にいます。」
 その静かな声に耳を澄ませながら、私たちもまた「希望の使徒」として日々を歩んでいきたいと思います。

※本記事は、2025年6月13日に開催されたオンライン集会「Il Beato Giaccardo, luce di speranza oggi」の講演内容に基づいて構成されています。

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