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みことばの響き

神殿崩壊 年間第33主日(ルカ21・5~19)

 ギリシアのアテネやコリント、シチリアのアグリジェントなどを旅すると、崩壊した神殿の跡を見ることができます。それが修復中のものもあれば、そのまま放置されているものもあります。かつてはこれらの地で栄華を極めたのだろうと想像できます。

 エルサレムの中心にも神殿が築かれていました。紀元前10世紀にソロモン王が建設した第一神殿、紀元前515年頃にセルバベルによって再建された第二神殿、紀元前20年にヘロデ大王によって大拡張されたヘロデ神殿。ヘロデ大王が造った神殿はとてもすばらしいもので、ヨセフス・フラビウスの『ユダヤ古代誌』には、石を運ぶために千台の車、もっとも熟練した一万人の職人、白亜の大理石とあり、両側の回廊の大きさは前代未聞で、柱の総数は162本あったと言います。人々がこの神殿に見とれるのも分かるような気がします。しかし、イエスは「一つの石も崩されずに他の石の上に残ることのない日が来る」(ルカ21・6)ことを語ります。どんなに華麗な神殿でも、いつかは崩壊することの予告です。

 事実、紀元70年、ユダヤ戦争においてこの神殿は崩壊していきました。現在、「嘆きの壁」と呼ばれている部分は、ヘロデ神殿を取り巻いていた外壁の西側の部分で、ユダヤ人は「西の壁」と呼んでいます。

 イエスはさらに今日の箇所で大きな地震、飢饉、疫病、恐ろしい現象、裏切りなどについても語ります。紀元70年の神殿崩壊と共に、キリスト者に対する迫害を踏まえたメッセージです。それは多くの人が迫害におびえ、悩んだ時でもありました。そんな中でイエスは「忍耐によって、あなたがたは命をかち取りなさい」(ルカ21・19)と語ります。

 私たちに時代にも、信頼していたものが崩壊したり、種々の困難が振りかっています。そんな時こそ、忍耐を身につけたいものです。

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