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みことばの響き

153匹の魚 復活第三主日(ヨハネ21・1~19)

 五島列島の中間くらいに桐教会があります。小高い丘の上に建ち、コバルトブルーの海と山の緑がみごとに溶け合っています。この教会からたくさんの司祭・修道者、さらには司教も輩出しています。

 私がよく知っているのは、福岡教区の宮原名誉司教様、長崎教区の故・川添猛神父様。宮原司教様は神学生時代の同級生、川添神父様は私が修道院に入る時、西木場教会の主任司祭でした。私にとっては、恩師のような存在です。宮原名誉司教様は地元の養殖について詳しいし、川添神父様は、魚料理だとプロ顔負けの腕前。そのためか、あるいは漁を営む信徒のことを意識してか、桐教会の祭壇に向かって左側の壁には、網を降ろす使徒たちの絵が描かれています。他の教会には見慣れない絵に、この教会の信徒たちのライフスタイルが想像できます。

 さてイエスはシモン・ペトロに「舟の右側に網を打ちなさい」と語ります。普通なら、大工さんの手伝いをしていたイエスに言われるのも侵害でしょうが、弟子たちは素直に網を降ろすと、153匹の魚がかかります。「153」という数字が何とも神秘的です。いったいどのような解釈したらよいのでしょうか。ギリシアの動物学者たちは、この湖に153種類の魚がいると考えました(ヒエロニムス『ラテン教父全集』25巻474参照)。また17x9=153になります。それでは、17と9がどんな意味があるかと言えば、私には分かりません。読者の皆様の想像に任せます。ともかく、これだけの魚がかかったのに網が破れなかったのは、教会の一致を示すものです。

 いろいろな不思議なことを体験した弟子たちは最後に「わたしに従いなさい」と声をかけられます。種々の難しいことが私たちの人生にはつきものですが、迷っている時、分からない時、「わたしに従いなさい」というイエスの声が聞こえそうです。

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