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カトリック入門

第212回 枢要徳【動画で学ぶ】※レジュメ字幕付き

(序)
*人間的徳とは、理性と信仰とに基づいて私たちの行為を統御し、情熱を秩序づけ、行動を導く、知性と意志との堅固な習性、安定した傾き、習性的な完全さです。人間的徳を備えている人は、容易に、自制心と喜びとをもって倫理的に正しい生活を送ることができます。有徳な人とは、全を自由に行う人のことです。

1 枢要徳の区別
*四つの徳が「要」の役を果たします。それゆえ、「枢要徳」と呼ばれます。他のすべての徳は、これらの徳の周囲を取り囲む位置にあるものとされています。その枢要徳とは、賢明、正義、勇気、節制の四つです。

2 賢明
*賢明とは、あらゆる状況もとで私たちの真の善を実践理性に識別させ、これを実現するための正しい手段を選ばせる徳です。「熟慮ある人は行く道を見分けようとする」(箴言14・15)。「思慮深くふるまい、身を慎んでよく祈りなさい」(一ペトロ4・7)。聖トマスは、賢明とは「行為の正しい基準」であるというアリストテレスのことばを引用しています。それは、憶病や恐れ、表裏ある態度や偽善などとは無関係のものです。諸徳の御者と呼ばれており、基準と尺度とを示しながら他の諸徳を導きます。両親の判断そのものを導くのは賢明です。賢明な人はこの判断に従って自分の行動を決定し、実行に移します。この徳のおかげで、私たちは倫理原則を個々の場合に誤りなく適用し、行うべき善や避けるべき悪が何であるのかという疑問を解決することができます。

2 正義
*正義とは、神と隣人とに帰すべきものを帰すという一貫した堅固な意志によって成り立つ倫理徳です。神に対する正義は「敬神徳」と呼ばれます。人間に対しては、各自の権利を尊重させ、人間関係の中で個人と共同善とに関する公平を促進する調和を定めます。聖書の中でしばしば言及される正しい人というのは、日ごろの考えの正しさや、隣人に対するふるまいの公正さの面で特に抜きんでた人のことです。「あなたは弱い者を偏ってかばったり、力ある者におもねってはならない。同胞を正しく裁きなさい」(レビ19・15)。「主人たち、奴隷を正しく公平に扱いなさい。知ってのとおり、あなたがたにも主人が天におられるのです」(コロサイ4・1)。

3 勇気
*勇気とは、困難にあっても断固として粘り強く善を追求させる倫理徳です。誘惑に抵抗したり、倫理生活の障害を克服したりする決心を固めさせてくれるものです。勇気の徳は、死の恐怖さえも克服し、試練と迫害とに耐えることができるようにしてくれます。正義を守るためには自分の命を捨て、犠牲に供することさえいとわせません。「主はわたしのとりで、わたしの歌」(詩編118・14)。「あなたがたには世で苦難がある。しかし、勇気を出しなさい。わたしはすでに世に勝っている」(ヨハネ16・33)。

4 節制
*節制とは、快楽の誘惑を抑え、この世の善を程よく用いさせる倫理徳です。本能に対する意志の支配力を保証し、欲求の中庸を保たせます。節制を保つ人は、自分の感覚的欲求を善に向かわせ、健全な控えめを守り、欲望のままに生きることがありません。節制は、旧約聖書の中でしばしば称揚されています。「欲望に引きずられるな。情欲を抑えよ」(シラ18・30)。新約聖書では、「節度」あるいは「慎み」と呼ばれています。

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