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みことばの響き

捨てる努力 待降節第2主日(マタイ3・1~12)

 先日、体重計に乗ってみたら、なんと78キロ。そういう時、体重計が壊れているのではと思ったりしますが、そうでもありません。毎年4月頃、健康診断があり、そのたびにバリウムを飲んで胃透視の検査がありますが、その検査のためには、前晩の9時から断食しなければなりません。せっかく断食するなら、健康診断の日が灰の水曜日か聖金曜日に当ればと思うのですが、世の中そんなに甘くありません。ともかく、健康診断の度に、担当医師から「健康のために10キロ減らしなさい」と言われ、その時は「ハイハイ」と答えるものの、いったん身に着けたものを取り払うのは決して容易なことではありません。

 体重もそうですが、もっとやっかいなのはプライド。いったんつけたプライドも取り除くのもそう容易ではありません。ある時、ある会のブラザーがこんな話をしてくれました。かつて大学で教えていた有名な先生が認知症になり、自室で毎日介護を受けることになりました。デイケアの方が訪問して、かつて教授だった人に「○○さん」と言ってもまったく返事しないけれど、「○○先生」「○○教授」と言うとすぐに返事するそうです。いくら認知症になったとは言え、いつまでたっても「先生」「教授」というプライドは捨てきれないのかもしれません。

 捨てることを教えてくれるのは洗礼者ヨハネです。彼は「らくだの毛衣を着、腰に革の帯を締め、いなごと野蜜を食べ物としていた」と言います。当時としてはとても質素な生き方でした。種々のものを捨てて生きる彼の魅力がよく描かれています。情報の氾濫、飽食の時代と言われる日本。洗礼者ヨハネの歩みを通して、捨てる努力を、今一度考えてみたいものです。

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