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月刊澤田神父

「月刊 澤田神父」2022年5月号(聖パウロ修道会と文化放送)※字幕付き

聖パウロ修道会と文化放送

 日本初の民間ラジオ放送局の一つである文化放送は1952年に開局され、今年2022年に70周年を迎えました。3月終わりから4月初めにかけて70周年の特別番組の放送や記念イベントがおこなわれました。その中で、「第5スタジオは礼拝堂~日本文化放送協会、そのはじまりの物語」という番組が放送されました。

 なぜ、このような話をするかと言えば、この文化放送、あまり知られていないことかもしれませんが、実は聖パウロ修道会が設立母体なのです。1934年に来日し、日本の聖パウロ修道会の基礎を築いたパウロ・マルチェリーノ神父とロレンツォ・ベルテロ神父。すでに日中戦争が広がる中での困難な船出でした。戦後、民間2社にラジオ局開設が許可されることになりました。聖パウロ修道会にはお金もない、人材もない、後ろ盾もない、そういう中でマルチェリーノ神父はこれこそ聖パウロ修道会の宣教使命であると確信し、準備を始めたのです。その道のりは非常に厳しいものでした。それでも、彼は決してあきらめることなく、信じて突き進みました。

 後に、聖パウロ修道会による文化放送の経営は暗礁に乗り上げました。そして、聖パウロ修道会は文化放送の経営から手を引くことになり、文化放送は株式会社としての歩みを始めることになりました。わたしは良く知らなかったことですが、文化放送の設立、そして株式会社化の是非については、なんと当時の国会でも議論されていたのです。

 70年も前の外国人宣教師が日本の福音宣教のために当時のメディアの最先端であったラジオ放送局の設立へと尽力しました。お金がない? 人がいない? そういうことは分かったうえでです。

 これは、わたしたち聖パウロ修道会に限ったことではなく、他の修道会でも同じことだと思います。どの宣教師も、必死の思いで日本に来て、大変な状況の中で宣教をしました。信じて宣教をするとはどういうことなのかを、身をもって証ししていると思います。それに比べて、わたしは何とちっぽけな考え方で生きているのだろうかと考えさせられます。

 文化放送開局のあらましは、特別番組の放送後、文化放送ホームページ内に連載形式で掲載されています。毎週火曜日の更新です。ぜひ、お読みください。そして、宣教師マルチェリーノ神父の信仰と熱意を共有していただければと思います。

●「第5スタジオは礼拝堂~文化放送 開局物語」
 https://www.joqr.co.jp/qr/article/48431/

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