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みことばの響き

ぶどうとイチジク 四旬節第3主日(ルカ13・1~9)

 小学生の頃、父は養鶏場の仕事とともにぶどうを栽培していました。栽培の仕事を時には喜んで、時には仕方なく手伝ったことがあります。そのサイクルは、9月ごろ収穫を終えて後、しばらくしてから枝の剪定。1月頃にぶどうの木の皮を剥き、3月頃に根元近くへ肥料をまき、5月頃に下草を払い、6月頃に袋をかけ、8月中旬頃から収穫。手伝いをしながら、ぶどうの栽培は楽ではないというのが実感です。

 それに対してイチジクはアジサイ同様、挿し木が簡単で、一般家庭でも容易に育てることができます。イチジクの原生地はアラビア南部地域で、地中海には紀元前14世紀頃、日本には1624年~1644年ごろポルトガル人によって伝わったと言います。禁教令・鎖国の時代ですが、いちじくについてはその波紋は広がらなかったのでしょう。

今日のみことばを読むと、ぶどうとイチジクがいっしょに植えられています。日本ではあまり目に光景でしょうが、パレスチナ地方では普通のこと。事実、古代エジプト(紀元前2400年頃)の絵にも、両者が一緒に描かれています。同じ畑ではあっても、栽培に関しては全く対照的。ぶどうは難しく、イチジクは易しい。失礼な表現かもしれませんが、イチジクに実がならないというのは、よほど植え方がヘタか、育て方がヘタか……。八王子の修道院にもイチジクの木があり、何の手入れもせず、毎年ちゃんと実っていたのを覚えています。みことばの中で主人が切り倒したくなるのも納得がいきます。そういう背景で今日のみことばを味わっていくと、神様がどれほど忍耐強く待っていらっしゃるのかがよく分かるのではないでしょうか。しかも3年間待つほどのサービスぶりです。

 今はイチジクを食べる季節ではありませんが、その時期になったらなおさら、神様の忍耐深さもかみ締めて味わいたいものです。

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