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カトリック入門

「カトリック入門」 第3回 神の創造【動画で学ぶ】

(はじめに)
 太陽、星、海を見ながら、いつ造られたのか?
 火星や金星と違って、地球には海があり、大気に酸素があり、いろいろな生命に満ちている。宇宙は、地球はどうやってできたのか、まだまだ分からないことがたくさんある。
 何千年前、何億年前? 限りない研究が今も続いている。
 幼稚園のサマーキャンプに行って、神の創造についての箇所を子ども向けの聖書を読んだ。そのあと、園児に「神様はどんなものを造りましたか?」と尋ねたら、いきなり「ドラエモン」。返す言葉がなかった。子どもはとても正直だなあと。
 本当は周りに生えている木や草を見て、答えが出てくるかと思ったら、違っていた。
 「創造」は「想像」?

1)種々の創造物語。世界にはどんな創造の物語があるか?
①「日本書記」
 古に天地未だ剖れず、陰陽分れざりしとき、渾沌れたること鶏子の如くして、溟涬にして牙を含めり。其れ清陽なるものは、薄靡きて天と為り、重濁れるものは、淹滞ゐて地と為るに及びて、精妙なるが合へるは摶り易く、重濁れるが凝りたるは竭り難し。故、天先づ成りて地後に定る。→天地創造
②エジプト
 アトゥム神による創造の物語がピラミッドの壁面に刻まれている。
③メソポタミア
 シュメルの伝承に基づくアッカド語の文献がいくつかの創造物語を伝えている。
 メソポタミアの神話では、原初の時代に神々の戦いがあり、世界はこの戦いの結果生じたとされる。
④ウガリット
 最高神エルが「万物の創造主」と呼ばれている。

2)創世記での神の創造
 創造物語は、「創世記」1章から2章に出てきます。
 要理書の中に、「天地万物の創造とは、神が自由にご自分の意志で、天地万物をおつくりになった。したがって、天地万物はまったく神に依存している。」
 世界観の違い(フランシスコ会訳に出てくるイラスト参照)

①用語(5つの表現)
「創世記」はヘブライ語で書かれているが、「創造する」という語には五つの表現がある。
 1)カナー:神の創造を表し、創世記14・19に使われ、「天地の造り主」と訳されている。
 2)ヤツァール:「形づくる」と訳され、創世記2・7,8,19などに用いられている。
 3)パアル:出15・7、箴言16・4に用いられ、創造の意味よりも、広く神の業に関して用いられている。
 4)アシャー:創造の意味で最も多く用いられ、創世記1・7,16,25,26,31と2・4、18に用いられている。
 5)バラー:創世記1・1に用いられていて、創造を表す語として最もよく知られている。
②創世記の背景(伝承など)
 創造物語については、二つの創造の記述(伝承)があり、神の働きがどちらにも感じられる。
a)祭司伝承
 祭司伝承による創世記1・1~2・3の描く世界は、とても雄大である。古代に普及していた考えに基づいて宇宙のことが描かれている。記事は当時の知識を反映したもので、今日知られているような科学的なものではない。はじめに神は天と地を原初の混沌から引き出す。次に富と美の源となるいっさいのものを出現させる。天体の運行、宇宙・植物・動物など、それぞれの世界の区別、繁殖の法則など、創造の秩序を語る。そして神の姿に似せて人間が造られるとき、創造のみ業は最高潮に達する。この業は6日間に分かれ、この業を終えてのち、神は休息し、第七日目を祝福し、これを安息日とする。創造は、全能である神の自発的行為であり、神が自らの姿に似せて造る人間を最終目的とする。
b)ヤーウェ伝承
 創世記2・4~25は、ヤーウェ伝承による最も古い創造の叙述であり、最初の男女と彼らの生きる世界の創造が描かれている。創世記1・1~2・3の文体、観点とは異なり、別の伝承に基づいている。神の固有名詞「ヤーウェ」を用いることにより、「ヤーウェ伝承と呼ばれる」。それによれば、神は実りをもたらす地下水を台地から湧き出させ、そこにエデンの園つまり楽園を設ける。そして地のちり(アダマー)で人間(アダム)を形造り、次に動物を造り、人の体から女を引き出す。存在しているものはみな、このように神自らの働きによって生じる。ここでは、神の活動が写実的・具体的に物語られている。神は、あたかも職人のように、人間が働くときのように振る舞う。
c)絵画などを通しての天地創造
 システィナ礼拝堂の天地創造の場面
 イタリアのモンレアーレにある壁画
③最高の創造(人間)
 創造の中でも最高のものは、人間の創造。「神に似せて」と、どんな人間も大切な存在であることを語る。

3)結び
 神が天地万物を創造なさったのは、ご自分の栄光を現わし、特に人々をご自分の生命と幸福にあずからせるためである。
 教皇フランシスコが昨年来日したが、その時のテーマは「すべてのいのちを守るため」
 この創造の業とつながるものである。

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