私たちは、時々「I D」ということを耳にいたします。これは、「identification」の略で、その人を証明するための身分証明書のことで、運転免許証や保険証、会社などでは社員証などがあります。洗礼の恵みを頂いている私たちは、同じようにおん父から「愛」という文字が書かれてある【ID】カードをいただいて、私たちがおん父の【子】であることを証明するものなのです。
きょうのみことばは、イエス様が【聖霊】をお遣わしになられることをお約束される場面です。みことばは、イエス様が弟子たちに言われる「あなた方はわたしを愛しているなら、わたしの掟を守るはずである。」という言葉で始まっています。イエス様の掟とは、「わたしは新しい掟をあなた方に与える。互いに愛し合いなさい。わたしがあなた方を愛したように、あなた方も互いに愛し合いなさい。」(ヨハネ13・34)とイエス様が言われたものです。
イエス様は、最後の晩餐の中で弟子たち一人ひとりの顔を見ながら「あなた方はわたしを愛しているなら」と言われます。弟子たちは、イエス様を愛していたはずですし、イエス様もそのことをご存知でした。それで、イエス様は弟子たちに念を押すようにここでも話され、さらに「わたしの掟を守るはずである」と言われます。きょうのみことばではありませんが、イエス様は、再び「わたしがあなた方を愛したように、あなた方も互いに愛し合うこと、これがわたしの掟である。友のために命を捨てること、これ以上の愛を人は持ち得ない。」(ヨハネ15・12〜13)と言われています。
イエス様は、ご自分が弟子たちに伝えた【掟】が自分の力だけで守ることが困難なことだということをご存知でした。それで、イエス様は、「わたしも父にお願いしよう。そうすれば、別の弁護者を遣わして、いつまでもあなた方とともにいるようにしてくださる。」と言われます。この【弁護者】というのは、【聖霊】のことなのです。イエス様は、ご自分が弟子たちを残していなくなった後にもこの【掟】を守ることができるために、【聖霊】をお約束されたのです。ここでイエス様は、聖霊のことを「【別の】弁護者」と言われていますが、もう一人の「弁護者」は、ご自身のことなのです。おん父のご計画は、この世に子であるイエス様を最初に【弁護者】として遣わされ、イエス様が復活され、昇天された後に「【別】の弁護者」である【聖霊】をお与えくださるという、私たちに【アガペの愛】を与え続けることなのです。
イエス様は、「わたしを愛する者は、わたしの言葉を守る。わたしの父はその人をお愛しになり、わたしたちはその人の所に行き、ともに住む。」と言われます。もちろん、この「わたしの言葉」というのは、イエス様がくださった【掟】のことです。イエス様は、「ご自分が愛されたように私たちも互いに愛し合ったときに、おん父も私たちを愛され、ご自分と一緒におん父も私たちの所に住んでくださる」とお約束されます。パウロは、「神の霊があなた方に宿っているかぎり」(ローマ8・9)、「イエスを死者の中から復活させた方の霊があなた方の内に宿っているなら」(ローマ8・11)と言っています。パウロがいう【宿る】というのは、イエス様が言われる「ともに住む」ということなのです。イエス様とおん父は、私たちを愛されておられるので、いつも私たちと【ともに住む】ことを切に願っておられるのです。
イエス様は、「わたしを愛さない者は、わたしの言葉を守らない。」と言われます。この「わたしを【愛さない者】」というのは、パウロがいう「肉の指図のまま生きている者」(ローマ8・8)という意味ではないでしょうか。さらにパウロは「肉に従って生きるなら、あなた方は死にます」(ローマ8・13)とも言っています。パウロが言っている【肉】とは、私たちの「肉体」とか「欲」というものではなく、「神様の力、恵み」ではなく「自分の力」に頼る人、三位一体の神を拒絶している人のことを指しているようです。
イエス様は、「これらのことを、わたしはあなた方とともにいる間、話してきた。弁護者、すなわち、父がわたしの名にお遣わしになる聖霊、その方がすべてのことをあなた方に教え、わたしが言ったことを思い起こさせてくださる」と言われます。イエス様は、弁護者としておん父からの言葉を弟子たちに話され、伝えられたのですが、ご自分が居なくなった後は、【聖霊】が弟子たちにご自分のすべてを思い起こさせてくださると言われておられるのです。イエス様は、私たちがおん父の子として歩むために、ご自分を通して【おん父】からの言葉を、さらに、【ご自分】の言葉を【聖霊】が伝えるように約束されたのです。
パウロは「霊ご自身がわたしたちの霊とともに、わたしたちが神の子供であることを証明してくださるのです。」(ローマ8・16)と言っています。私たちは、イエス様からいただいた【掟(言葉)】を【聖霊】の恵み、助けを頂きながら【神の子】という【I D】を身につけて歩んで行くことができたらいいですね。