エルサレムに比べ、ガリラヤ地方は今でも静けさに満ちた所です。観光地には人がいますが、ちょっと郊外になると人気(ひとけ)がなくなります。そんな所に男だけでも五千人というのですから、これに女性や子供を加えると相当の数になったことでしょう。人里離れた所なので、食べ物を調達するのも容易ではありません。日も傾き、弟子たちが群衆を解散させ、適当に「宿をとって、食べ物を見つけるでしょう」と言いたくなるのも納得できます。そんな弟子たちにイエスは「あなたがたが彼らに食べ物を与えなさい」と語りますが、彼らはとても困惑したことでしょう。しかも「わたしたちにはパン五つと魚二匹しかありません」と答えます。これだけしか持っていないのに、どうすればよいのだろうと彼らは悩みます。
一方、イエスは「五つのパンと二匹の魚を取り、天を仰いで、それらのために賛美の祈りを唱え、裂いて弟子たちに渡しては群衆に配らせます」。不平不満ではなく、賛美と感謝の祈りを行います。こうして「すべての人が食べて満腹しました」(9・13)。弟子たちの言い分は「パン五つと魚二匹しか」ですが、イエスにとっては、賛美と感謝になり、皆満足します。同じものでもこんなに違ってきます。
2023年の「カトリック教会現勢」をカトリック中央協議会のホームページで調べてみると、日本の人口は約1億2488万人に対して、カトリックの信徒数は43万1070人。パーセンテージでは0.338%となっています。聖職者・修道者・神学生の数は5771人。信徒数とのパーセンテージで計算すれば、1.34%。人口の割に信徒数は少ないのですが、聖職者・修道者・神学生の割合はかなり高いものです。信徒数こそ少ないものの、学校、病院、諸施設など、カトリック教会が日本の社会に与えているものは大きいのではないでしょうか。「数が少ない」と不平不満を漏らすか、たくさんの恵みを感じて賛美と感謝になるか、それは私たちの心の持ち方で違ってきます。