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キリスト教知恵袋

歌唱ミサという用語について

 「歌唱ミサ」という語は典礼用語です。例えば、1969年に発行された『ミサ典礼書の総則』76において、「日々の聖務の一部となっている修道院ミサは……なんら特別な執行形式を持つものではないが……その共同体すべての会員の充実した参加を得て、歌唱によって行なわれるのがふさわしい」と指摘されています。この「歌唱ミサ」という用語には、どんな規定があるのでしょうか。

 1967年に礼部聖省から発行された「典礼音楽に関する指針」(典礼委員会秘書局)28に、「伝統的であり現行のものである典礼法規に基づき、1958年の指針(第3番)によって確認された盛式(荘厳)ミサ、歌唱ミサ、読唱ミサの区別を保持すべきである」という条文が見られます。指摘されている1958年に公布された「聖音楽と聖典礼とに関する礼部聖省の訓令」(布教委員会発行)の第3番を調べてみると、「歌唱ミサ」とは、司式する司祭が典礼法規に従って歌うことができる部分を実際に歌ってミサをささげる場合で、司式する司祭が唱えるだけでミサを司式する場合は「読唱ミサ」と呼ばれるという区分がなされています。そして、司祭が一人ではなく奉仕者を伴って歌唱ミサをささげる場合は「盛式(荘厳)ミサ」と呼ばれることになっています。

 ところで、司式する司祭が典礼法規に従って「歌唱ミサ」を行なう場合には、一人でミサをささげるよりも、奉仕者をはじめ、多くの信者の積極的な参加を得て、いわば「盛式(荘厳)ミサ」がささげられることが望ましいことは言うまでもありません。そのため、1967年に礼部聖省から発行された「典礼音楽に関する指針」(典礼委員会秘書局)28〜31では、「歌唱ミサへの参加に段階を設け、それぞれの会衆の能力に応じてミサの執行を、歌によっていっそう盛式(荘厳)にする」ことができるよう三段階の区別を行なっています。そして、少なくとも第一段階の部分を歌うことが「歌唱ミサ」と呼ばれる条件になります。また、第二段階と第三段階は、第一段階の部分を歌うことを前提として追加されるもので、第一段階の部分を省いて、第二段階あるいは第三段階を歌っても、「歌唱ミサ」と呼ばれないことになります。

 誌面の都合上、ここでは通常「歌唱ミサ」と呼ばれるための条件となる第一段階のみを紹介したいと思います。「開祭」では、司祭のあいさつと会衆の応唱、集会祈願、「ことばの典礼」では、福音朗読の後の応唱、「感謝の典礼」では、奉納祈願、奉献文の対話句と叙唱、感謝の賛歌、奉献文の結びの栄唱、主の祈りと副文、主の平和、拝領祈願、「閉祭」では派遣の祝福の部分を歌うことです。

・回答者=白浜満司教

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