紀元前1000年ごろ、人口調査が行われるようになりました。これは徴税が目的でした。税率は農産物の収穫および家畜の10分の1(一サム8・15~17)。古代インドのマウリヤ朝では、農民に対して収穫の4分の1程度の税金と強制労働があり、古代中国の漢の時代には、人頭税、財産税、田租、労働の提供があり、唐の時代になると租・庸・調の税制が導入されるようになりました。日本でも701年に完成した大宝律令により、租・庸・調という税の仕組みができました。祖は収穫の約3%、庸は都での労働(年間10日間)、調は布や絹などの諸国の特産物を納める税。いつの時代でも税は重い負担に感じるでしょう。
また日本では1989年に3%の消費税が導入されるようになり、1997年には5%の税率に変わっていきました。今は10%です。ちなみに他の国ではどれくらいの消費税かというと、2008年1月現在の資料によれば、フランスでは19.6%、ドイツでは19%、スウェーデンでは25%、イタリアでは20%、中国では17%、韓国では10%。ただヨーロッパなどでは、基本税率は高くても、生活必需品に税率が低く、国民生活に負担が掛からないように配慮しています。
イエスの時代でも、ローマ帝国に対して納税することは、ユダヤ教徒にとってとても頭の痛い問題でした。ユダヤ教徒が異国の王である皇帝に対して納税するのは、神を裏切り、「主の他に何ものも神としてはならない」というモーセの十戒を破ることにもなります。こういう状況で、ファリサイ派の人々が「律法」に照らして納税の是非を問うのは、イエスを窮地に陥れる最高の質問でした。イエスが「よい」と言えばユダヤ教徒から嫌われ、「いけない」と言えばローマの警護兵から反逆者として逮捕されることになります。
納税についての問答でイエスは彼らの罠に気づき、「皇帝のものは皇帝に、神のものは神に返しなさい」と応えます。イエスの適切な回答が響いてきます。
