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霊的生活の模範 使徒聖パウロ

英知ある建築家――霊的生活の模範 使徒聖パウロ(9)

33 「わたしは神から与えられた恵みによって、賢い建築家のするように土台を据えましたが、ほかの人がその上に家を建てるのです。しかし、その上に建てる人は、どのように建てたらよいかそれぞれ注意を払わなければなりません」(Ⅰコリント3,10)。

 パウロは土地を選んで、それをじょうずに開発した。腐敗しきった町、コリントから、りっぱな成果があがった。というのもキリスト教が、活動的な、人を変える。統一的ないのちとなるからである。

 アフロディテ(邪悪の神)が幅をきかせた所で、最初の童貞たちの芽生えた。多くのキリスト信者と多数の熱心者は、使徒パウロの喜びであった。聖パウロは大衆の救いを目的としていた。

 私たちは、みんなの指導者であり、小さな派閥の指導者でも、数名の特権者や感じのよい数名の若者の指導者でない。

34 パウロは建築資材(訳注、教化の題材)をじょうずに選び分けた。

 パウロは教理の根本的な真理を取り上げた。簡単なものから難しいものへ、知っているものから、知らないものへと順序よく話を進めた。信じるに足るものという根拠は神の権威であるが、パウロは、この根拠を定着させたのである。説得とか証明とかは信仰の根拠にはならない。

 それゆえパウロは個人に対しても、家庭に対しても、社会に対しても、真のキリスト教的生活を植え付けた。

 「信仰、希望、愛は、引き続き残る。この中で最も優れているのは、愛である」(Ⅰコリント13,13 参照)。

 審判とか永遠という思想が(パウロの教えの中で)どこにでも現れてくる。(パウロ)信心のやりかたは、調和よくとれている。すなわち信心は神への義務の一部であるが、同時に家庭の中で、個人生活の面でキリスト教的な生活をするための手段でもある。

 すなわち信心は「神への奉仕に関係あるすべての事に対して自己をささげる従順な意志」である。

 宗教は自己を中心にしない。

 つまり「地上の安楽を求めない」。

 「宗教」は神を中心にする。「神のみ旨が行われるように」(ルカ1,38参照)。

 「だから、わたしたちは落胆しません。たとえわたしたちの「外なる人」は衰えていくとしても、わたしたちの「内なる人」は日々新たにされていきます。わたしたちの一時の軽い艱難は、比べものにならないほど重みのある永遠の栄光をもたらしてくれます。わたしたちは見えるものではなく、見えないものに目を注ぎます。見えるものは過ぎ去りますが、見えないものは永遠に存続するからです。わたしたちの地上の住みかである幕屋が滅びても、神によって建物が備えられていることを、わたしたちは知っています。人の手で造られたものではない天にある永遠の住みかです」(Ⅱコリント4,16-18.5,1 )

35 聖パウロには一貫した生きかたがある。古い律法の役目は終わった。新しい律法が個人や社会を向上させ、完成させる。教会は世の終わりまで活動を続けるキリストである。個人的な義務と社会的義務の中にある自然的たまものを、おろそかにしないで、むしろ、その自然的なものを新しい精神で完成しなければならない。古い原則、よりよく知られた原則、自覚した原則、生活に生かした原則をもって人々や社会を導くかなければならない。求道者から完全なキリスト者まで積み重ね方式で教育しなければならない。

師イエスに向かって

36 主イエス、もし私があなたの気に召されることを常に語らなかったとすれば、どうかそれを取り消し、埋め合わせをさせてください。私自身としては誤ったという意識はありませんが、あなたはいっさいをごらんになり、埋め合わせをしてくださいます。

 むしろ、私が悔やむのは、まず手本を示してから、優しくきっぱりとした態度で、ものごとを明らかに説明しなかったことです。あなたは道・真理・生命です。これが私がより強く感じ、ほかの人にもよりよく感じとらせますように。多くの異なった霊性ではなく、あなたが示された霊性を身につけますように。

 真理なるイエス、私たち皆が、教義を尊重しながら研究することによってあなたに従いますように。

 道なるイエス、あなたのおきて・模範・勧告を尊重しながら実践することによって、あなたに従いますように。

 生命なるイエス、みんなが、あなたと一致することによってあなたに従って生活しますように。私たちが、秘跡・準秘跡・祈りによってあなたにつながれ、ぶどうの木であるあなたの生ける枝となりますように。

 こうして私は自分自身を育成し、「私はあなたがたのうちに、あなたがたは私のうちに」(とのおことばどおり)あなたがそのうちに生きることを望んでおられる人々をも育成するのです。

 ロザリオの祈り、ミゼレレ。

・『霊的生活の模範 使徒聖パウロ』(ヤコブ・アルベリオーネ著、池田敏雄訳)1987年
現代的に一部不適切と思われる表現がありますが、当時のオリジナリティーを尊重し発行時のまま掲載しております。

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