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これってどんな種?

信じるという種 復活節第5主日(ヨハネ14・1〜12)

 以前は、自動車でどこかへ行く時に、地図を使って道を確かめながら行っていました。しかし、今は、ナビゲーションシステムがあるので地図を見なくても、安心して目的地にたどり着くことができます。私たちの人生の最終目的地は、おん父の所に行くことですが、そこへ行くためには、イエス様がお示しになられる【道】を通らなければいけないのです。私たちは、その【道】を迷わずに行きことができたらいいですね。

 きょうのみことばは、イエス様がもうすぐ十字架にかかって亡くなる前に弟子たちに大切なことをお伝えする場面です。ヨハネ福音書の13章には「イエスは、この世から父のもとへ移るご自分の時が来たのを悟り、世にいる弟子たちを愛して、終わりまで愛し抜かれた」(ヨハネ13・1)とあります。イエス様は、それほど、弟子たちを愛されておられました。それは、今も続いていて、私たち一人ひとりに対しても、愛されておられます。

 きょうのみことばは、イエス様がおん父のもとに行くことを弟子たちに伝えた後に、動揺している彼らに対して「心を騒がせてはならない」という言葉から始まっています。弟子たちは、メシアであるイエス様との別れを悲しみ、自分たちはこれからどうすればいいのかという不安、周りのユダヤ人たちからの迫害への恐れなどいろいろな思いがあったことでしょう。

 イエス様は、彼らに「あなた方は神を信じなさい。そして、わたしをも信じなさい」と伝えられます。このことは、これから残していく弟子たちを励ます言葉ではないでしょうか。イエス様は、ご自分が亡くなっても彼らが何を信じたらいいのかをしっかり示されます。きょうのみことばには、【信じる】という言葉が何度も出てきますが、ただ単に【信じる】ということだけではなく、心の底から【信じる】という意味ではないでしょうか。そして、それが私たちへの【指針】となると言ってもいいでしょう。

 イエス様は、「……わたしのいる所に、あなた方もいるようになるためである。わたしがどこに行くのか、その道を、あなた方は知っている」と弟子たちに伝えるのですが、弟子たちは、はっきり理解することができず、トマスが「……どうすればその道を知ることができるでしょうか」と質問します。イエス様は、「わたしは、道であり、真理であり、命である。わたしを通らなければ、誰も父のもとに行くことはできない」と答えられます。

 イエス様は、私たちがおん父の所に導かれる唯一の【道】なのです。その【道】を通るためには、「神を信じなさい。そして、わたしをも信じなさい」と言われたことを私たちが行うことと言ってもいいでしょう。イエス様は、弟子たちに「わたしがあなた方を愛したように、あなた方も互いに愛し合いなさい」(ヨハネ13・34)と言われていました。私たちがイエス様を【信じる】というのは、この掟を【信じて】守っていくことなのではないでしょうか。

 イエス様は、ご自分の命さへ惜しまないという最高の【愛】を示されました。イエス様は、「わたしは道である」と言われます。私たちは、イエス様がお示しになられた【愛の掟】を行ないながら、その【道】を歩んで行きながらおん父の所へ向かっているのです。

 イエス様は、「もう今から父を知っており、また、父を見たのである」と言われます。みことばの中に出てくる【知る】とか【見る】というのは、単に知識としての【知る】や肉眼を通しての【見る】ではなく、霊的に深いところを表しているようです。ですから、イエス様は、信仰の目を使っておん父を感じるということを教えられたのではないでしょうか。フィリポは、まだイエス様のこの言葉を理解できず、肉親の「御父を見せてください」と言ったのでした。イエス様は、彼の質問に対して「わたしを見た者は、父を見たのである」と言われます。弟子たちはますますイエス様の言葉を理解できなくなったことでしょう。

 イエス様は、「わたしが父のうちにおり、父がわたしのうちにおられると、わたしがいうのを信じなさい」と言われます。この言葉は、私たちの中にも同じようにイエス様がおられますし、おん父がおられるということを示されておられると言ってもいいのではないでしょうか。おん父はご自分に似せて私たちを創られ、さらに【息】を吹きかけてくださいました。私たちの中には、すでに三位一体の神様が入られているのです。

 イエス様は、「わたしを信じる者は、わたしの行っている業を行い、また、それ以上の業を行うであろう。わたしが父のもとに行くからである」と言われます。イエス様は、ここでも【信じる】と言われます。私たちは、イエス様を【信じて】洗礼の恵みをいただくと同時に、イエス様の業を行うという使命も頂いたのです。

 私たちが行っている福音宣教は、イエス様を信じて、イエス様とともに【業】を行っているのです。私たちは、イエス様がおん父の所へ向かう唯一の【道】であることを【信じ】日々の生活を歩むことができたらいいですね。

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