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会員たちのコラム

司牧実習の体験 ヨセフチャン・ゴー・グエン・ヴー神学生

 去年に引き続き、今年も小教区の司牧実習を体験させていただいている。去年は大勢の信徒が所属している関口教会であったが、今年の司牧実習先である葛西教会は、小規模の小教区ではあるが、江戸川区にある小岩教会と同様、とても大切な存在になっている。私は、他の神学生と共に、毎日、大神学院で勉強し、土曜日と日曜日には、それぞれの小教区へ司牧実習に出かけている。私は土曜日の授業が終わると昼食を取り、ちょっと準備してから葛西教会へ向かっている。

 コロナ・ウィルス感染症の拡大によって、教会共同体の活動は、大きく影響を受けているが、信徒の皆さんの感染防止に対する意識の高さと協力のおかげで、葛西教会は、これまで感染者を出さないで済んでいる。今後も葛西教会としては、感染対策をしっかりして、ミサに参加する侶者たちの密を避けるため、一週間ごとに信者の数を三グループに分け、交代してミサに参加することになっている。

 私は、4月24日(日)、復活節第二主日に、初めて葛西教会を訪問した。教会には日本人の信者たちの他、外国人も多く、フィリピン人、ベトナム人の信者さんたちがいる。しかし、小さな教会なので、日曜日には日本語のミサと、英語のミサを行うことはできても、それ以外の言語でのミサを行うことはできない状況である。

 毎週土曜日には、午後七時のミサがあり、日曜日には午前十時のミサがある。直接教会に来られない方々のためには、オンラインでミサにあずかることができるように配慮されている。午後四時からは、英語のミサが行われている。

 通常、私が葛西教会で行なっていることは、ミサの準備とミサ中の侍者奉仕の役割である。ミサの後は、ベトナム人の若者たちと会話をしながら、CTIC(カトリック東京国際センター)の活動内容を日本語で聞いた後、ベトナム人たちのためにベトナム語に通訳する仕事を行なっている。このCTICの活動は、難民・移住者のためのサポートである。日本に滞在する技能実習生と日本企業で働いている外国人たちが、会社とトラブルになった際、彼らの問題を解決するために創設された団体である。もちろん私だけではなく、葛西教会に所属しているベトナム人の方々が、このCTICのお手伝いをしている。私は彼らの活動の様子を見ながら、CTICについて、また外国人労働者が抱える問題を学んでいる。

 CTICのための通訳のお手伝いだけでなく、堅値のための勉強会と人門講座も受け持つように初めて依頼された。講座を任せられたことはとても嬉しい半面、責任の重さを実感して緊張感も味わっている。講座に参加するのはベトナム人の青年たちではあるが、ベトナム語で一緒に勉強するのは決して簡単なことではない。

 ミサに参加する青年たちの中には、ゆるしの秘跡を長い間受けていない若者もいる。彼らは、ゆるしの秘跡を受けずにご聖体を拝領することは、不敬にあたるとのおそれから、ご聖体を受けないでいることが続いている。

 そのため、私は彼らのゆるしの秘跡の準備のために、簡単な日本語でゆるしの秘跡を受けられるように説明し、指導している。彼らは最近、ようやくゆるしの秘跡を受け、ご聖体を拝領するようになってきている。神学校に戻ってから、彼らのうちの一人から次のようなメッセージをもらった。

 「ブラザーありがとう。告解できて、それでミサのご聖体を拝領できてよかった。ゆるしの秘跡は、まだことばの問題があるが、心には平安に感じる。故郷を離れているが、毎週教会に行けて、祈りすることができるのはラッキー。」という内容であった。

 私はそのメッセージをもらってとても嬉しく思ったが、実際には、神の招きに答えて彼らをゆるしの秘跡にまで導いてFさったのは、私ではなく、神ご自身なのである。しかし、私を葛西教会のベトナム人の若者たちに引き合わせて下さった神にとても感謝している。

 私は、単に神学生としての立場だけではなく、聖パウロ修道会のメンバーとして、司牧実習の場で修道会のカリスマを実践していくことが必要なのではないかと考えている。「私たちの小教区は世界である。」という第七回総会のメッセージは、聖パウロ修道会の精神は、決して小教区における司牧精神を忘れているわけではなく、現代における社会的コミュニケーション手段を用いて、全世界に福音を宜べ伝えることにおいて、教会と共に司牧活動の使命を果たしていくことが表現されているのである。

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