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みことばの響き

大海の一滴 年間第31主日(ルカ19・1~10)

 徴税人の頭だったザアカイ。当時の世界において、徴税人は不正に税を取り立て、私腹を肥やしていたことから、とても嫌われていました。その仕事の頭ともなると、人々の反感もかなりあったことでしょう。そんなザアカイがイエスとの出会いで回心していきます。彼自身、「イエスに是非会ってみたい」そんな願望に駆られていました。その時が訪れてイエスに出会います。イエスはザアカイに対して「この人もアブラハムの子」と言います。ここには全ての人が救いに招かれていることを明確にすることばが含まれているのではないでしょうか。

 今年はマザー・テレサが帰天して25年になります。それにちなんだ種々の企画がなされました。彼女は心にしみるたくさんのことばを残しましたが、その中でも特に印象に残ることばは「大海の一滴(ひとしずく)」です。どんな人にも目を向ける彼女の優しさが感じられます。

 「自分たちの今していることは、大海の一滴(ひとしずく)にすぎないと思っています。けれど、もしその一滴がなかったら、大海もその一滴のぶんだけ少なくなってしまうでしょう。ものごとを大規模にやるという方法に、わたしは不賛成です。わたしたちにとって大切なのは、ひとりひとりです。ひとりの人を愛するようになるには、その人とほんとうに親しい間柄にならなければなりません。」(『マザー・テレサのことば』半田基子訳 女子パウロ会発行)

 一人ひとりの人間は大海の一滴のようにとても小さな存在です。でもその一滴がなければ、大海は成り立っていきません。どんな人も大切な存在として語ったマザーのことばに、イエスがザアカイを大切にしていたそんな思いが共鳴します。

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