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みことばの響き

底辺からの祈り 年間第30主日(ルカ18・9~14)

 ファリサイ派と徴税人。人々の目からすると、ファリサイ派がみんなから尊敬されていました。それに対して徴税人はふだんから税を余計に徴収し、人々からよく思われていませんでした。そんな徴税人が謙虚に祈り、神に受け入れられていきます。

 福岡のサン・スルピス大神学院で4年間生活した時、毎年の夏、大久保の聖トマス寮から某大学の夏期スクーリングに通いました。当時は6週間あり、この期間に8単位、4年間では少なくとも30単位を取得しなければなりませんでした。一年目はスムーズに8単位取得したのですが、2年目に8単位のうち、3単位落としてしまいました。「西洋史概説」(2単位)と「英語講読」(1単位)の3単位。真夏の暑い中、毎日真面目に授業に出席し、英語の宿題も毎日提出したのですが…。

 スクーリングも終わり、10月中旬のある夕食の時のこと。スクーリングの結果が郵送されてきて、食事中にみんなワイワイ言いながら結果を披露し始めました。みんな合格して8単位取得した様子。私もそうだろうと思って開封したら、前述のように二科目(合計3単位)不合格になっていました。その結果を見たとたん、目の前が真っ暗になり、食欲も失せてしまいました。「ああ、本来なら4年で卒業できるけど、1単位足りないために5年かかることになったなあ」と。「真面目に通ったのになあ」と…。でもしばらくして気を取り直し、ふと思いました。「真面目に通学したから、必ずしも報いがあるとは限らない。日々努力が必要だ」と。3年目は8単位合格し、4年目の時、通常は8単位しか受講できないのですが、卒業論文の仕上がり具合、卒業に必要な単位取得状況を説明すると、担当の方が特別に9単位受講できるように配慮してくれました。もちろん全科目試験に合格しなければならなかったので、その時はとても必死でした。10月中旬に9単位の合格通知が届いた時は、跳び上がって喜びたい気持ちでした。

 失敗したり、底辺の状況に立ったりした時どのようにしたらよいか。徴税人の行動は、その回答を提供してくれます。

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