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カトリック入門

第119回 聖書の正典【動画で学ぶ】※レジュメ字幕付き

序)前回、「聖書」についてお話をしましたが、今回は、その中でも「聖書の正典」についてお話いたします。
「正典」は「カノン」という言葉が使われます。「定規」「尺度」の意味があります。もともとは「葦」からきます。

1 聖書の正典
*どの書が聖書のリストに入るか、議論がありました。
 旧約聖書は46書(プロテスタントでは39書)
 新約聖書は27書(カトリックもプロテスタントも同じ)
①「旧約聖書」は、聖書の欠くことのできない部分を成しています。その諸書は霊感によって書かれ、永続する価値をもっています。古い契約が決して無効になったわけではないからです。
*「旧約の救いの計画は、何よりもまず、万物のあがない主キリストの到来を準備し、預言的に知らせるために立てられました。」「不完全かつ一時的なことも含んでいますが」、旧約聖書の諸書は人を救う神の愛の教育法をよく示しています。それらの書は、「神に関する崇高な教えと人間生活に関する有益な知恵と祈りのすばらしい宝を納め、かつまた、私たちの救いの神秘を秘めています。」
*キリスト者は旧約聖書を神の真のことばとして敬います。

②新約聖書
*「神のことばは、すべての信じる者にとって救いのための神の力ですが、そのことばは、新約聖書においてとくにすぐれた方法で示され、そしてその力を発揮しています」。
新約聖書の諸書は、神の啓示の決定的真理を私たちに伝えます。その中心的内容は、人となられた神の御子イエス・キリスト、そのわざ、教え、受難、栄光、そして聖霊の働きに基づくキリストの教会の発足です。
*福音書は「私たちの救い主である託身のみことばの生涯と教えとに関する主な証言ですから」、全聖書の中心となるものです。

*福音書の成立には三つの段階がある。
 ①イエスの生涯と宣教
  教会は四福音書の歴史性をためらわずに断言し、神の子イエスが人間の間で生涯を送り、彼らの永遠の救いのため天に上げられる日まで、実際に行い、また教えたことを、それらの福音書が忠実に伝えていることを主張します。
 ②口伝(くでん)
  使徒たちは、主の昇天後、キリストの栄光ある出来事に教えられ、真理の霊の光に照らされる、確信を与えられて持っていたいっそう深い理解をもってキリストの言行を聴衆に伝えていました。
 ③福音書
  聖書作者は四福音書を書くにあたって、口伝と書き物とのよって伝えられていた多くの事柄の中から選択し、あることがらを総合し、あるいは教会の事情に留意しながら説明し、そして宣教の形式を保ちながら、イエスに関して、常に真理と真実とを私たちに知らせるようにしました。
*四福音書は教会の中で一つの卓越した位置を占めていますが、そのことは典礼が払う崇敬とそれがあらゆる時代に聖人たちに及ぼした比類のない影響力とによって示されています。

2 旧約聖書と新約聖書との一貫性
*教会はすでに使徒時代から、またその後の伝承の中で絶えず、予型論を用いて二つの契約の間に見られる神の計画の一貫性を明らかにしてきました。この予型論は旧約時代の神のわざのうちに、時が満ちて人となられた御子において神が実現されたことの前表を見分けます。
*キリスト者は旧約聖書を、死んで復活されたキリストに照らして読むのです。この予型論的な読み方によって、旧約聖書の汲みつくすことのできない内容が明らかになります。しかし、旧約聖書は、主ご自身によってあらためて確認されたように、それ自体で啓示としての価値を保っていることを忘れるべきではありません。
 実際、新約聖書もまた、旧約聖書に照らして読まれる必要があります。古くから言われているように、「新約が旧約のうちに秘められ、旧約が新約のうちに明らかとなる」ために、新約聖書は旧約聖書の中に隠され、旧約聖書は新約聖書の中で明らかにされるのです。

3 教会生活の中での聖書
*神のことばは、教会にとっては支えと気力となり、教会の民にとっては、信仰の力、魂の糧、霊的生命の清く尽きない泉となるような威力と性質をもっています。「あなたのみことばは、わたしの道の光、わたしの歩みを照らすともしび」(詩編119・105)
 キリスト信者には、聖書に近づく多くの機会が与えられなければなりません。

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