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みことばの響き

距離感 年間第28主日(ルカ17・11~19)

 距離感というものは、実際にそこに住んでみないと往々にして理解しにくいものです。聖書の世界でエルサレム、サマリア、ガリラヤなどの地名が出てきても、現地に行ったのと行ってないのとではずいぶん感覚が違ってくるでしょう。今日の聖書の中に、これらの地名が出てきます。サマリアだけは行ったことがありませんが、直線距離で測ってみると、エルサレムからサマリアが約50km、サマリアからガリラヤまでが50km。東京から相模湖が約50km、相模湖から甲府が約50km。そんな距離感で読んでみると、だいたいの見当がつくのではないでしょうか。

 今日の福音では、イエスはガリラヤを出発して、サマリアを通り、エルサレムに向かう途上です。重い皮膚病を患った人たちに出会います。その当時、重い皮膚病にかかった人は他の人たちから隔離され、罪ある者、汚れた者と思われ、身体的には精神的にも大きな重荷を抱えていました。まさに死を宣告されたようなものでしょう。そんな症状の中でイエスに癒されたのは大きな恵みであり、感謝の気持ちを持つのは当然のことです。全部で10人癒され、一人はサマリア人、残り9人はユダヤ人でした。その当時、サマリア人は外国人と思われ、みんなから軽蔑もされていました。一人のサマリア人には、重い皮膚病という病気による距離、民族間での距離が相当あったことを想定できるでしょう。そんな彼が癒されてイエスに心から感謝していきます。本来なら残りの9人も感謝すべきでしょうが……。

 このたとえから、私たちが心から感謝する気持ちが疎くなっていないかを警告するとともに、神と隣人との距離がどの程度広がっているかを考えさせてくれます。

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